ストレスとは
ストレスを一般的に受け入れられるように定義するのは決して容易ではありません。なぜなら、ストレスは人のそれぞれの思いによって、いろいろと違った意味で用いられているからです。例えば医者は生理学的メカニズムから、技術者は力学的な視点から、物理学者は応力として、心理学者は行動の変化から、そして、勤労者は労働環境や人間関係から、一般の人々は不幸な体験、強制、禁止されることに使われている。現在、私たちが日常的に使っている「ストレス」は、生理学的に身体に課せられる要求のことであり、ハンスセリエ(Hans Selye, 1907 – 1982)のストレス学説に基づいています。ストレスは幸福や成功、悩みの有無などではなく、良い、悪い、のいずれの意味も付加しません。外的な環境状況が突きつけてくる要求とそれに対する固体側の対応能力のバランスが崩れたストレス下にある場合、自分に求められている要求がどのようなものであるか、その要求を何らかの方法で変容させていくことが大切になります。
ストレス対策の三原則
- ストレスのメッセージである身体的なサインに気づくこと。
- 生理学的リラクセーション状態を作り出し自律神経系を安定させること。
- 認知と行動に働きかけて自己受容力を高めていく。
してはいけないこと
- ストレスの原因になったことに無関心になること。
- 不快なこと嫌なことを回避しない。
- いつも悩みごとがあり、そのことで落ち込むこと。
生活とストレスの関係
●人間関係の問題
- 親子、夫婦、親族、職場の上司と部下、同僚間の葛藤や問題
- 友達関係(いじめの問題)、生徒と教師との関係
- 死別、別離など対象を失うことによる悲しみ(喪失体験)
●役割上の問題
- 家庭/父、母、夫、妻としての役割の負担や欠如による苦痛や 空虚感
- 職場/能力に適応しない仕事の内容(今の仕事が能力以上または能力以下)、適正の問題、過重労働など
- 学校/学業や進学の問題
- 失業、退職、子どもの自立などによる役割の喪失
●欲求の阻害の問題
- 安全や健康への欲求の阻害
- 所有欲、支配欲、権力欲などの阻害
- 倫理観、道徳観の阻害
- 今の問題を解決すれば元の自分に戻れる。ではなく、今の問題を乗り越えるためには、自分自身を成長させること。問題より先に自分自身にフォーカスする。
- 何か自分の外に特効薬的な方法がある。ではなく、自分の中にあるものを引出す。
- 目の前にある困難(ストレッサー)は、避けるのではなく、無視するのでもなく、ただ、「あるがまま」を見る。否定も肯定もしない。判断をしないでありのままを観察する。
- 今に集中すること。自分の能力(エネルギー)は「今」に使う。過去や将来の不安に使わない。古来より東洋の思想にもあるが、近年、マインドフルネスとも表現される。
外的環境の要求が個人の能力を上回る時、様々な心身的問題が発生する。